5月17日は高血圧の日!高血圧ってどんな病気?
毎年5月17日は、「世界高血圧デー/高血圧の日」です。世界高血圧連盟がこの日を「世界高血圧デー」に制定したことを受け、日本でも2007年、「高血圧の日」に制定されました。
今回は高血圧についてご紹介します。
・血圧って何?
・高血圧はなぜいけないの?
・高血圧が引き起こす病気のリスク
・日常生活で気を付けること
・高血圧の人の食事のポイント
血圧って何?
血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の内壁を押す力(圧力)のことをいいます。血圧を決定する主な要因は、以下の五つに分けることができます。
・心拍出量(心臓が1分間に拍動で全身に送り出す血液量)
・抹消血管抵抗(血液が血管に流れ込む際の末梢血管の抵抗力)
・循環血液量(体の中を循環している血液量)
・血液の粘着度
・大動脈の弾力性(しなやかさ)
血圧数値の「上」「下」とは?
血圧の「上」は最高血圧、「下」は最低血圧です。
最高血圧は、心臓が血液を送り出すために心臓が収縮して、血管に強い圧力がかかっている状態の値で、収縮期血圧とも言われます。一方、最低血圧とは、次に送り出す血液をためこむために心臓の筋肉が最も広がっている状態の値で、拡張期血圧とも言われます。
(出典:日本高血圧学会/一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子)
正常血圧の値に入っている場合は問題ありません。正常高値血圧と高値血圧は、将来高血圧になる可能性が高い予備軍と考えられていますので、早めに生活習慣の改善を心がけましょう。
(孤立性)収縮期高血圧は、最高(収縮期)血圧だけが異常値をしめすもので、高齢者に多く見られる高血圧です。
高血圧はなぜいけないの?
血管を流れる血液の圧力が高くなると、つねに血管に刺激がかかって、動脈(酸素を届ける血管)が傷みやすくなります。血管をホースに例えると、ホースの中の水圧が高い状態が続き、ホースが劣化しもろくなってしまう状態です。
同時に、高い圧力で血液を送り出している心臓が多くのエネルギーを必要とするため、疲れやすくなります。このように、高血圧は血管や心臓に障害をもたらします。
高血圧が引き起こす病気のリスク
① 脳卒中
高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳卒中です。脳卒中は命が助かっても、半身麻痺や感覚障害等の後遺症が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。
②心臓病
高血圧は、心肥大や冠状動脈硬化、狭心症、心筋梗塞などの心疾患のリスクも高めます。特に、男性の場合は影響が大きく、収縮期血圧が10mmHg高くなると、心筋梗塞や狭心症の危険度が約15%も増加します。
③腎臓病
血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中の過剰な塩分などの排泄がうまくいかず、さらに血圧が上昇する悪循環を起こしやすくなります。
日常生活で気を付けること
◆入浴について
入浴も血圧の上昇や下降に関係します。特に冬は、寒い脱衣所や熱い風呂に入ることで血圧が上がり、風呂から上がると下がります。
お湯はぬるめ(40℃ぐらい)にし、長湯はせずに5〜10分位浸かりましょう。また、冬の寒い時期は、脱衣所や浴室を暖房等で暖めておきましょう。
(参考:過去コラム「冬の入浴に潜む危険!ヒートショックにご注意ください!」)
◆喫煙について
たばこに含まれる化学物質は血管の収縮を促し、血圧を上げる作用があります。また、血液の流れを悪くし、血液が凝固しやすくなり、動脈硬化の原因となります。
禁煙をするとその日から血管への悪影響を無くすことができます。禁煙期間が長くなるほど、動脈硬化の進行を抑え、心疾患のリスクを減らすことができると言えるでしょう。
◆お酒について
少量のアルコールは一時的に血圧を低下させますが、飲酒量が増えると血圧が高くなる傾向にあります。一般的に適度な飲酒量は、1日平均純アルコールで20g程度と言われています。適量を心がけましょう。
◆肥満について
肥満の人は、肥満でない人と比べて2~3倍も高血圧を発症する率が高くなります。肥満の人が1kg減量すると、血圧は約2㎜Hg下がると言われていますが、急激な減量は体に弊害もあります。長期的な計画を立て、無理のない減量をするようにしましょう。
◆運動について
軽い有酸素運動(ウォーキング・サイクリングなど)は、血圧降下に有効なだけでなく、肥満防止につながり気分転換にもなります。ただし、息を切らすような運動や、筋力トレーニングなどは、安静時に比べて血圧が100mmHg近くも上昇することがあるため、避けてください。
また、高血圧の程度によっては控えた方がよい場合もあるため、事前に医師に確認しましょう。
高血圧の人の食事のポイント
◆薄味を心がける
高血圧の要因として一番に上げられるのが「塩分のとりすぎ」です。
高血圧の方が目標とすべき1日の塩分摂取量は6g。
外食やコンビニでご飯を買うことが多い方は、濃い味付けに慣れてしまっているので、まずは塩分や調味料を減らし、薄味を心がけましょう。
だしや海苔、ネギやショウガなどの香味野菜で風味をつけると、薄味でも美味しくいただけます。
練り製品や加工食品も塩分が多いため、摂取には注意が必要です。
◆麺類はスープを残す
ラーメンやうどんなど、麺の中には既に多くの塩分が含まれています。さらにスープを飲みほしてしまうと塩分のとりすぎです。スープは残すようにしましょう。
◆野菜、青魚、果物を積極的にとる
野菜や果物はカリウムが多く含まれています。カリウムは体内の余分な塩分を排泄する作用がありますので、積極的にとりましょう。
また、青魚は血液をサラサラにして動脈硬化を防いでくれるEPAやDHAが豊富に含まれています。
高血圧対策おすすめレシピ
DHAやEPAが豊富なまぐろと、カリウムたっぷりの野菜を合わせたレシピです。薬味を多めに使いレモンを加えることで、少量のしょうゆでも風味よく食べることができます。
◆野菜たっぷりカルパッチョ
【材料:2人分】
・マグロ 80g
・アボカド 1/2個
・大根 30g
・きゅうり1/2本
・みょうが 適量
・青じそ 適量
A・オリーブオイル 小さじ1
A・しょうゆ 小さじ2
A・レモン汁 小さじ1
【作り方】
1. 大根、きゅうり、しょうが、青じそ、みょうがは千切りにする。
2.マグロとアボカドは薄切りにする。
3.2を器に並べ①を盛る。
4.Aをよく混ぜて③にかけてできあがり。
まとめ
自覚症状がないために放置されがちな高血圧ですが、そのまま放置してしまうと恐ろしい病気のリスクを高める、まさに「万病のもと」と言えるでしょう。
まずは健康診断の値をチェックし、予備軍の方は今のうちから生活習慣を改善していきましょう。