夏に気を付けたい虫さされ!注意すべきポイントも
夏は虫が活発になる季節です。気がついたら手や足がたくさん蚊に刺されていた、という人も多いのではないでしょうか。
「虫さされ」の原因となる虫は蚊だけではなく、刺され方や症状も様々です。今回は虫の種類や症状、対処法などをご紹介します。
・虫さされのメカニズム
・虫さされの症状
・代表的な虫の種類
・刺された時の対処法
虫さされのメカニズム
虫さされ(虫刺症)とは、虫に刺されることで起こる皮膚炎の総称です。刺される以外にも血を吸われる、接触する、咬まれる等で起こる皮膚炎は全て虫さされと呼びます。
虫が皮膚を刺したり咬んだりすることにより、虫の毒成分や唾液成分などの異物が皮膚の中に侵入して炎症を起こします。これが虫さされの正体であり、腫れやかゆみを引き起こします。
虫さされの症状
主な症状は腫れ、かゆみ、痛み、赤み、水ぶくれです。かゆみは虫の唾液や毒成分に対するアレルギー反応の一つとして起こります。痛みの原因は刺すという物理的な刺激に加え、注入された毒成分や唾液成分の刺激により炎症が起こるためです。
虫さされによるアレルギーには、刺された直後から症状が出る「即時型反応」と、時間が経ってから症状が出る「遅延型反応」があります。即時型反応によるかゆみや発赤、腫れは数時間程度で治まります。遅延型反応によるかゆみや発赤、発疹は数日から1週間程度で軽快します。
注入された毒液の種類や量、アレルギー反応の有無、年齢や体質によって、症状の程度には個人差があります。
代表的な虫の種類
・蚊
私たちにとって最も身近な虫さされは蚊によるものです。蚊は家の中、公園、山の中などどこにでも生息します。
蚊に刺されると患部は赤くふくれあがり、直後からかゆみを感じます。症状の多くは数時間程度で自然に治りますが、程度には個人差があり水ぶくれができたり数日続いたりする場合もあります。また、乳幼児の場合は虫さされを掻くことにより傷口より細菌が入り、水ぶくれができて他の部位に広がる「とびひ(伝染性膿痂疹(のうかしん))」になることもありますので注意が必要です。
蚊に刺されないための対策
蚊は気温の高い日中は影を潜め、比較的涼しい朝や夕方に活動します。この時間帯の外出には虫よけスプレーを使用しましょう。また、汗のにおいや体温を察知し近づくと言われています。こまめに汗をふき、制汗スプレーやデオドラントシートで体温を下げることも効果があります。
・ブユ(ブヨ・ブト)
ブユは体長2mm~4mmの小型のハエのような虫で、地域によってはブヨ、ブトと呼ばれています。刺されると半日~1日後に徐々に激しいかゆみと赤い腫れが現れます。蚊と違い、皮膚を噛んで出てきた血液を吸うため、赤い出血点や内出血ができることがあります。蚊に比べて毒性が強いためかゆみや腫れの症状が強く、しこりが残ることもあります。
ブユに刺されないための対策
ブユがいそうな場所に行くときには肌の露出を避けましょう。長袖長ズボンはもちろん、靴下もしっかり履きます。さらにブユに効果のある虫よけスプレーを組み合わせると効果的です。また、ブユは黒や紺などの濃い色の服に寄って来る習性があるため、明るい色の服を着ると良いでしょう。
・ダニ
室内で刺されるほとんどはイエダニの被害です。イエダニは体長0.7mm前後でとても小さく、寝ている間に布団に潜り込んで吸血します。下腹部や太ももなど柔らかい皮膚が刺されやすく、かゆみの強い小さなしこりがたくさんできます。
ツメダニも人を刺して体液を吸うことがあります。刺された直後自覚症状はありませんが、翌日以降にかゆみや腫れが出てきて、1週間ほどかゆみが続きます。
また、草むらに潜むマダニは体長3~10mmの大型のダニで太ももやわき腹など時間をかけて吸血します。吸血中は麻酔物質を含む唾液を注入しているため、気づかないことも多くかゆみも感じません。7日間ほどして満腹になると自然に脱落しますがかゆみ、痛み等症状が残ることがあります。また吸血を介して日本紅斑熱や致死率30%とも言われている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)等の感染症を発症することがあり、注意が必要です。
・毛虫
チャドクガなど毒毛を持つ蛾の幼虫に触れることで、赤い小さな発疹がたくさんでき、激しいかゆみを伴います。毛虫に直接触れていなくても、毛虫の体から抜けた毒針毛が風で飛んで皮膚に付着し、発症することもあります。
・ハチ
ハチに刺されるとすぐに激しい痛みを感じ、赤く腫れ始めます。こうした症状は1日もすればよくなることがほとんどですが、注意しなくてはいけないのが強いアレルギー反応が起こるケースです。1度刺されて体内に抗体が作られると、2度目以降に刺された時にアレルギー反応が現れるようになります。多くの場合刺されてから30分以内に全身にかゆみや蕁麻疹、吐き気、むくみなどが現れ、ひどい場合にはアナフィラキシーショックを起こして意識がなくなったり、呼吸困難になったりすることがあります。こうした症状が現れた場合にはすぐに救急車を呼びましょう。
・ムカデ
ムカデは牙を使って皮膚を咬み、毒成分を注入します。咬まれると直後から強い痛みや腫れなどの症状が現れます。ムカデの毒に対する強いアレルギー反応が出た場合は、アナフィラキシーショックを起こすことがあるので、体調に異変を感じたら医療機関をすぐに受診してください。
・クラゲ
虫ではありませんが夏の海ではクラゲに刺されることもあります。クラゲは刺胞と呼ばれる毒針を持っており、刺胞に触れるとやけどのようなヒリヒリした痛みやチクチクした痛みが起こります。また皮膚の症状だけでなく以下のような全身症状が出ることもあります。
・吐き気や嘔吐
・みぞおちの痛み
・頭痛
・筋肉の痛みやけいれん
・呼吸困難
痛みが続く場合や全身症状が出た場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
刺された時の対処法
何かに刺されたら、患部をこすらず冷水で洗い、よく冷やします。毛虫に刺された時は、こすると肌に残った毒毛を広げてしまうことがあるので、粘着テープなどで毒毛を取り除いてから、石鹸とシャワーで洗い流しましょう。
クラゲに刺された場合は海水で優しく洗い流します。触手が残っている場合はすぐに抜く必要がありますが、決して素手で触らないようにしてください。
蚊による虫さされなど、軽症であれば市販の塗り薬で問題ありませんが、かゆみや赤みが強い場合は、ステロイド外用剤による治療が必要です。
特に、ブユや毛虫、ムカデやハチなどによる虫さされはかゆみが強く、症状が長引きます。掻き壊してしまうと、細菌による二次感染を起こしたり、痕が残ったりすることがあるので、充分な強さのステロイド外用剤を使って、しっかり炎症を抑えるのが、早くきれいに治すための近道です。
市販薬を5〜6日間使用しても症状が改善しない場合や、患部に水ぶくれが発症したり強い痛みを感じたり全身に蕁麻疹(じんましん)が出るなどの症状が現れた場合は、医療機関を受診してください。
まとめ
一口に虫さされと言っても重篤な症状に陥る場合もあります。虫に刺された時には症状を見極め、適切な対処方法を心がけましょう。