季節の花、紫陽花(あじさい)の魅力を再発見
6月のこの時期、街中や軒先でたくさんの紫陽花を目にします。シックで華やかな紫陽花は雨にもよく似合いますね。最近ではさまざまな色の紫陽花を見かけるようになりました。今回は紫陽花についてご紹介します。
・紫陽花の名前の由来
・紫陽花の特徴、色が変わる理由
・紫陽花の花言葉
・紫陽花の育て方
・古都鎌倉 紫陽花の名所
紫陽花の名前の由来
紫陽花の語源は諸説ありますが、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」がなまったものと言われています。
「あづ」は小さいものが集まることを意味し、「さい」は藍色の花や、真藍(さあい)を表します。青い小花が集まって咲くことから、この名がつけられたとされています。
紫陽花の漢字の由来
唐の詩人、白居易(はくきょい)が招賢寺というお寺を訪れた時、お寺に咲いていた紫色の花を「紫陽花」と名付けたことから来ています。しかし、実際には今の紫陽花ではなく別の花だったと言われています。
この「紫陽花」の漢字を日本で「あじさい」と訳して広まったのが「紫陽花(紫陽花)」の漢字の由来と言われています。
紫陽花の特徴、色が変わる理由
紫陽花は小さな花が集まっているような形をしていますが、花びらのような部分は実は花ではなく、”ガク”になります。
ガクの中心にある小さなつぼみのような部分が花なのです。
また大きな特徴のひとつに、色が変化するというものがあります。
同じ株の花でも薄紅色になったり爽やかな青色になったり、色を変えていく様子はとても神秘的です。
紫陽花の色が変わるメカニズムには、土の酸度と花に含まれる色素が関わっています。
紫陽花には「アントシアニン」と呼ばれる色素が含まれており、この色素が紫陽花を発色させています。
アルミニウムが多く含まれた酸性の土壌では、アルミニウムとアントシアニン色素が結合して紫陽花は青色になります。逆に土中のアルミニウムが少ないアルカリ性の土壌では、紫陽花は薄紅色やピンク色に近い色に変化します。
日本は酸性の土壌が多いので、地植えの紫陽花には青い花が多く見られます。
紫陽花の花言葉
紫陽花の花言葉は、成長に合わせて自身の色を変化させていくことから「移り気」「変わりやすい心」などが有名です。
また色によって花言葉も異なります。青い紫陽花は「冷淡」「高慢」、ピンク色の紫陽花は「元気な女性」「強い愛情」、紫色の紫陽花は「辛抱強い愛情」「神秘」、白色の紫陽花は「ひたむきな愛情」「寛容」という花言葉を持っています。
なお、白色の紫陽花は土の性質の影響を受けず、花色が変化しないことから「ひたむきな愛情」という花言葉がつけられたそうです。
紫陽花の育て方
紫陽花は生命力が強く丈夫なため、初心者の人でも育てやすい植物です。暑さ、寒さにも強く真夏日でも元気に生育します。
紫陽花は地植えでも鉢植えでも楽しむことができます。地植えでは日当たりがよく、西日を遮る場所がよいでしょう。(西日で焼けてしまうのを避けるため)
風通しが良い場所であることも考慮します。鉢植えの場合は花や茎が大きいため、一回り大きな鉢を選びましょう。
水やり
紫陽花は水はけがよく、湿潤な土を好みます。鉢植えは表面の土が乾いたら水やりをします。乾燥しやすい夏場は1日2回あげるとよいでしょう。地植えの場合は特に水やりは必要ありませんが、夏場地面が乾いている場合は適宜行いましょう。
剪定
紫陽花の栽培で大切なのは「花後の剪定」です。紫陽花の花芽は、夏の終わりから秋にかけて形成されます。剪定が遅れると、せっかくできた花芽を切り落としてしまうこともあり、その場合翌年は花が咲きません。花が咲き終わったら早めに剪定を行いましょう。
紫陽花の剪定の方法
① 花から2つ下の芽を確認する
紫陽花の花の2節目に芽があることを確認します。樹高が高い紫陽花なら、3~4芽下でもいいでしょう。
②芽の約2cm上でカットする
① で確認した芽の2cmほど上で枝を切り、花がらを取ります。
紫陽花が大きく育ってきたら、「休眠期の剪定」も行います。必ずしなければいけない剪定ではありませんが、葉を落とした冬に枯れ枝や混み合った枝を整理すると、すっきりした姿になり、風通しもよくなります。
古都鎌倉 紫陽花の名所
「紫陽花と言えば鎌倉」と言われるほど、鎌倉には紫陽花の名所が点在します。鎌倉のノスタルジックな風景と紫陽花はよく似合います。ここでは名所をいくつかご紹介します。
1.明月院(あじさい寺) / 神奈川県
鎌倉随一の紫陽花名所。鎌倉で「あじさい寺」といえば明月院です。境内に広がるのは小ぶりで形のきれいなヒメアジサイという日本古来の品種。日ごとに青みを増してゆく綺麗な青色は明月院ブルーと呼ばれており、その愛らしさと透明感で人気を博しています。
(2021年は6月1日~6月30日まで平日のみ開門、土日は終日閉門となっているのでご注意ください)
2.長谷寺(長谷観音) / 神奈川県
鎌倉で人気が高い観光スポットの1つ。観音山の傾斜を利用した眺望散策路は40種類以上の紫陽花が咲き誇ります。由比ガ浜を眺められる見晴台もあります。紫陽花の時期は非常に混み合い入場制限がかかることもあるため、朝早めの時間がおすすめです。
(2021年は密を回避するため、5/29より散策路が有料となります)
3.東慶寺 / 神奈川県
江戸時代には駆け込み寺として知られていた東慶寺。現在は北鎌倉の花の寺として親しまれています。明月院から歩いて10分ほど。山門へつづく石段の両側に咲き誇る姿が美しいと評判です。
まとめ
梅雨はじめじめとして嫌な季節ですが、街のいたるところで紫陽花が楽しめる季節でもあります。
今年はぜひ、紫陽花を楽しんでみましょう。